ハッシュ法(Hashing)の説明
ハッシュ法は、 キーをハッシュ関数と呼ばれる関数に入力し、その出力であるハッシュ値に基づいて、データをハッシュテーブル (またはハッシュマップ)と呼ばれるデータ構造に格納する技術です [1]。これにより、データの検索、挿入、削除を効率的に行うことができます。
基本的な考え方
ハッシュ関数: キーをハッシュ値に変換します。理想的なハッシュ関数は、異なるキーに対して異なるハッシュ値を生成し、ハッシュテーブル全体に均等に値を分散させます。
ハッシュテーブル: ハッシュ値をインデックスとして使用し、対応する場所にデータを格納します。
ハッシュ関数の例
簡単なハッシュ関数の例として、キーをテーブルのサイズで割った余りをハッシュ値とする方法があります。
h(k) = k mod m ここで、
h(k): キーkのハッシュ値k: キーm: ハッシュテーブルのサイズ
衝突(Collision)
異なるキーが同じハッシュ値を生成することがあります。これを衝突と呼びます [1]。衝突が発生した場合、以下のいずれかの衝突処理戦略を用いて対処する必要があります [1]。
チェイン法(Separate Chaining) :各ハッシュテーブルのエントリに、同じハッシュ値を持つキーと値のペアを連結リストに格納します。
オープンアドレス法(Open Addressing) :衝突が発生した場合、ハッシュテーブル内の別の空いているスロットを探します。
線形探査法: 空いているスロットを順番に探します。
二次探査法: 二次関数的に間隔を置いて空いているスロットを探します。
ダブルハッシュ法: 別のハッシュ関数を使って探査間隔を決定します。
オープンアドレス法
ハッシュ表の要素数をmとしたとき、キーを挿入する場所を決めるために、以下のハッシュ関数hを用いるオープンアドレス法が使える [2]:
h(k, i) = (h'(k) + i * h2(k)) mod m
iは衝突の回数h'(k) = k mod mh2(k) = 1 + k mod (m - 1)
ハッシュ法の利点と欠点
利点:
平均的な場合、検索、挿入、削除が非常に高速に行えます(O(1)に近い) [3]。
欠点:
最悪の場合、すべてのキーが同じハッシュ値に衝突すると、検索にO(n)の時間がかかることがあります。
ハッシュテーブルのサイズを適切に選択する必要があります。
計算量
ハッシュ表に対する探索の計算量は O(1) です [3]。
図による説明 (チェイン法)
ハッシュテーブル (サイズ: 5) 0: [キー1 -> 値1] -> [キー5 -> 値5] 1: [キー2 -> 値2] 2: [キー3 -> 値3] 3: [キー4 -> 値4] 4: [キー9 -> 値9] -> [キー14 -> 値14]
まとめ
ハッシュ法は、効率的なデータ管理に不可欠な技術であり、データベース、キャッシュ、プログラミング言語のデータ構造など、多くの分野で使用されています。